続・三分
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小さく唇が触れる。
1・2・3・・・・・・・
頭の中で時間をカウントする。
流れる時間に逆らうように俺等は静止した。
ほんの数ミリ。
たったそれだけの接点。
一体何処で呼吸をすればいいって言うんだ・・・・・?
こうやって口を塞がれちまったら鼻でしか息ができねぇ、
なのに、こんな寿の距離が近すぎたら俺の息がお前に掛かっちまう。
くそっ、そんな事、どうだっていいじゃないか・・・・・・・
なのにそんな事が妙に憚れる。
何でいちいち俺がそんな遠慮をしなくちゃなんねぇんだ・・・・・
口元の皮膚に寿也の息を小さく感じる。
どうしてお前はそんなに平然としてられるんだ?
このまま、こうしてる事に何にも感じねぇのか?
こんな風に、頭ん中が訳わかんなくなってるのは俺だけなのかよ・・・・・・。
薄目を開け、卓上の砂時計を盗み見る。
砂はやっと半分、落ちただろうか。
まだ半分・・・・・・
こんなに時間が進むのは遅かったか・・・・・・・?
息を吸いたい・・・・・・
無意識だった。
無意識のうちに口を小さく開いた。
その瞬間、俺の口の中に寿也の舌が入り込んだ。
口の中を寿也の舌がゆっくりと這う。
湿った感触を感じる。
いつのまにか俺の口はこんなに乾いていたのか。
寿也の舌が口内を潤していった。
お前はいとも簡単に俺の願いを叶える。
深い呼吸。
与えられた機会。
いつの間にか俺は寿也の舌に自分の舌を絡ませていた。
もう、何も考えられない。
ただ、俺は体に任せるままに動いた。
深く息を吸いこむ。
寿也の手が俺の後ろに回り強く髪を掴む。
深く息を吐き出す。
お前の口内に。
それと同時に寿也の深く大きな息が俺の
体の中に入り込む。
熱い息だ。
俺は寿也の肩を後ろから強く掴んだ。
耳に入るのはお前の呼吸と俺の呼吸、
そして俺とお前の唾液が交じり合う音。
やっと、時間が動き出した。
俺達の本当の時間。
砂時計の砂はとうにその動きを止めていた。
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あれ、終わりにしたつもりがやっぱり続けたくなっちゃった。
もっともっと彼等には続けて欲しい。
2006.9.22
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