「太一なら、オレが風邪ひいたら『オレにうつして』って言うだろ?」
「・・・うん。言う。」
「じゃぁなんで、オレには言わせてくれないんだ?オレだって、太一の風邪だってなんだって全部うつして欲しいと思うよ。そうやって本当に辛い時に、内緒にしようとするなよ。

風邪ってさ、ほんとに辛いんだよな。簡単な病気なくせに、いざかかると意外に心底弱るんだ。
オレは、ちょっとでも太一に楽になって欲しいよ。」

「・・・うん。分かった。黙っててゴメン・・・・・っつって、克哉さんっ?!ちょ・・なにしてんのっ!」
「太一は大人しく寝てなさい。」
「寝てなさいっ、って、だってそんな、いきなり服、脱ぎだしたら普通ビビるっしょっ!」
「ほら、いいから静かに横になって。昔から言うだろ?発熱している人に裸で抱き締めて寝ると、熱を全部奪うって。
ちょっと太一、もう少し、ベッド詰めてね・・・よいしょ・・」
「・・・・そんな話、聞いた事ないし・・・・。ってか、そんな事克哉さんにされたら、オレ、余計に熱上がるんだけど・・・・・」
「ほら、騙されたと思って目、瞑って。今日はこのまま大人しく寝るんだぞ。」
「克哉さん・・・・・・オレ、風邪よりこの状況の方が辛い・・・・」



10分後




太一、寝たな。
なんだかんだ言って、やっぱり相当辛いんだろうな。身体が凄く熱い。

太一は分かってないかもしれないけど、オレは太一のこんな熱、全部吸い取って奪っても足りない位、太一が欲しいんだ。



2008/5/10



発熱