present
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「寿…」

はっきりと問い掛けるような口調にはっと吾郎君の眼を見た。



「お前、俺から離れるなよ――――」

「何言ってるんだよ、いつだって離れていくのは君の方だろ?」

「んなもん、今更言ったってしょうがねーだろ?

俺が言ってんのは、ここの問題。」

ニヤリと笑いながらどん、と僕の胸を拳で打つ。

あ、何だかいつもと逆だな。



「ここん中、ぜってー俺から離れるな。

いつでも俺を気に掛けて生きてけよ。

その俺が誕生日プレゼントだ」

「全く、調子がいいな……そんなプレゼント、僕には何もいいことないじゃないか」


・・・・そんな事、君に言われなくても僕にとっては当たり前だ

「んなんだよ、わかいくねーなー。ちょっとは素直に喜べってんだよ」

「だったら素直に喜べるようなプレゼントにして欲しいね」

「いいよ、んなもん。お前にいい事なんてある必要ねぇって。

お前だって、人に貰わなくたって欲しいもんは自分の手で、手に入れてーだろ?」

「そりゃそうだけど……」

「こん中に俺がいるって思うとよ、なんか俺が気持ちいいからさ…」


一瞬、君のはにかんだような表情を見た時、どうしようもない気持ちになった。

何なんだろうな、これは。

甘さと息苦しさが同時に訪れた。


「―――それじゃぁ、僕へのプレゼントじゃなくて僕が君にプレゼントを贈っているみたいだよ」

「固いこと言うなって。

俺の幸せは寿の幸せ。寿の幸せは俺の幸せ、ってな」

「相変わらず自分勝手なご都合主義だね。そんな事、ある訳ないだろ」

「なんだよ、いーじゃねーか!」

顔を吾郎君から背け、背後にその声を聞いた。





この気持ちが君からのプレゼントかもしれない――――





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