友人のふり
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君が「服が欲しい。」と言った。
「おい、寿、ちょっと付き合えよ。」
そんな言葉で僕等は街へ出た。
久々の雑踏。行き交う人々。目まぐるしく僕の前を通り過ぎる。
楽しそうに笑い合う恋人達。
まるで風のよう・・・。
僕は無意識に目を細め、彼らとすれ違う。
ふと、ウインドウに写った僕と君の姿。
僕等は・・・・。
心おきなく戯れ、笑い合える友人。
こうして他愛もない話で笑い合い、憎まれ口をたたき合う。
きっと僕等も風のよう。
でも。
僕は知っているんだ。
君の右腿にあるほくろも、背中の爪跡も。
そっと指先が触れるふりをしよう。
僕等は掛け替えのない友人。
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