些事
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寿也視点



君は本当に分かり易い。

いつもと同じように一緒にお風呂に行こうと誘ったのに、

「ちょっと用事が・・・。」なんて口ごもったりして。

「そう、じゃぁ今日は一人で行くね。」そう言って部屋を後にした。




僕は食堂にある冷水器から直接水を口にし、僅かな時間を潰した。

僅かに口元からこぼれた水を拭う。



そのまま部屋へ戻った僕はそっと部屋のドアの前で気配を消すように立った。

ドアの軋む音を立てない様にゆっくりとドアを開けていく。

まるで僕の存在を消すように。



二段ベッドの上段。

君の静かな息使いだけが聞えてくる。押し殺したような君の声。


同じ空間の中、君の静かな熱さだけを感じる。

僕の心の中は水面のよう。

静かに君の鼓動を感じ、水紋を広げていく。




自分の欲望に溺れる君の姿が愛しい。

君の呼吸が次第に大きく、荒くなる・・・・・。



僕は君で満たされたこの空間の中で、静かに君を感じていた。






続き