些事
吾郎視点
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寿也は俺の腿を挟むように膝を着いた。

上から見下ろした寿也の視線を感じる。

俺から決して目を逸らす事がない瞳。




その瞳の奥には深い湖がある気がする。

吸い込まれそうな深い碧。


俺はゆっくりと動き始めた・・・。





初めは躊躇していた。

一人で耽る時の様に出来なかった。

それが、次第にそれ以上の高揚が体を満たし始めていく・・・・・。

こんな辱めを受けているのに、何故俺の体はこんなに熱くなる?



時折、降り注ぐ寿也の声。


「・・・・吾郎くん、いいんだよ、

もっと・・・、そう、

もっと、動かしてごらん・・・。」





甘く、柔らかい声・・・・

優しく体を濡らす雨のように。


濡れた先端が指を伝う。

自分の激しい息遣いが聞こえてくる。


寿也の視線に全身を包まれる感覚。

この狂おしい快感に俺は溺れていった。



「・・・吾郎く・・ん・・・・

すごく濡れてるよ・・・

こんなになっちゃって・・・

・・・・どう、気持ちいい?」





寿也の声がいつもと違う。

吐息が混じり、上擦っている・・。



寿也・・・・・・?

そっと目を開け、寿也の顔を盗み見た。


白い肌が紅く色づき、薄く開けた唇から小さく短い息が洩れている。

・ ・・・・・色っぽい表情、だ・・・

そう感じると、更に血液が波打ち、新たな滴りが溢れる。




今、俺とお前は何処も触れていない。

何処も繋がっていない。

繋いでいるのは二人の間を流れる快楽だけ。



「・・・・・吾郎・・くん・・・・

もっと、速く動かして・・・

ほら・・もっと・・・」




寿也の声に促されるまま俺は手の動きを速める、


もう止められなかった。



・ ・・とし・・・、とし・・・としっ・・・




うわ言ように寿也の名前を呼んだ。

呼ばずに居られなかった。





「寿・・・寿っ・・・、あぁ・・あーーっ・・!」


強い快楽の中、俺は寿也の前で迸りを吐き出した。


長い長い快感が俺の身体を包む。



・・・・激しい動悸はなかなか治まらなかった。

その全ての様子を寿也が満ち足りた表情で見詰めている。


霞んだ意識の中、少しの羞恥心と何故か安堵が心の中を染めていった・・・・。









続き