些事
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
寿也視点
君が僕の名を呼ぶ・・・。
繰り返し、繰り返し途切れることなく。
僕を求めているの・・・?
君のその表情、息遣い、汗、
全てが僕を惑わせていく。
それだけで、充分だったはずなのに。
君が、僕を呼ぶなんて思ってもみなかったから・・・・。
純粋な快楽に痛みが加わる。
どうして、そうやって君は無意識に僕を狂わせる?
胸に針が刺さったような微かな痛み。
こんな痛みは大したことはない、
ささやかな痛みだ。
僕はそれを静かに味わった。
ゆっくりと呼吸を取り戻した君。
そっと胸に手を触れた。
君の体温、鼓動。
確かに手に伝わってくる。
安らかな気持ちに包まれそうになる。
でも。
今日は君を許さない。
君が僕を狂わせるから。
生温かい安らぎを拭い去る。
『飛ぶ夢』に続く