飛ぶ夢
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寿也視点
よくそんな夢を見ていた気がする。
体を包む浮遊感。何処までも続くような飛行。僕は思い気入り空気を吸い込む。
自由に解き放たれた心。何の疑いもない。
でも、大抵、それは失速する。
不意に訪れる墜落。
急速な落下に体が弾かれる。
そして、それが夢だった事を思い知らされる。
なんで、今、僕はそんな事を思い出すんだろう。
それは、僕が今自ら落下しようとしているからかな。
穏やかな顔の君を見下ろす。
このまま君を眠らせてあげられたらいいのに。
欲望なのかな?愛なのかな?
とにかく今、君が欲しいんだ。
君の額に唇を落とした。
微かに君の気配が微笑む。
頬に、耳に、首筋に。
とめどなく唇で触れていく。
指を君の指に絡ませる。
僕の10本の指全てが君の指と絡み合い、強く握り締める。
「・・・とし・・・?」
訝しげに僕を見上げる君。
やっと今頃、君は気が付いたんだね。
僕は、君を犯そうとしている。
続き